第15章 心理学を学ぶということ
15-1. 心理学の魅力
15-1-1. 心理学の多様性
人間が関わることであれば、どんなことにせよ心理学の知識や考え方が必要となってくるということもできる
日本心理学会諸学連合: 心理学及びその関連分野の学会が互いの連携を深めるために1999ねんい結成された団体 会員にはアカデミックな研究者も臨床の実践家も含まれることも心理学系の学会の特徴
15-1-2. 心理学を特徴づけるもの
2000年以上の隔たり
「心」への関心と学問としての自立の間にあるギャップ=誰もが納得するような手法によって研究できるようになるまでの多くの困難(現在も)
現代の心理学を特徴づけるもの
「心」への関心
「心」の研究アプローチ
15-1-3. 心理学の面白さと難しさ
知識は明示的に記述され、はっきりと意識化されたときに初めて活用することができる
心理学の知識として提供されたときに初めて注意を払うことができるようになる
心理学の中で説明される事象は科学的な検証を経て得られたもの
人間には様々なバイアス(認知的な歪み)があるため、日常生活の中でそれが間違っていることに気づくことは容易ではない
現代心理学は実証性を旗印に今日まで発展してきた
心理学の歴史は方法論の歴史ととらえることができる
科学的手法はときに人間の心について驚くべき事実を明らかにすることがある
15-2. どのように学ぶのか
15-2-1. 故きを温ねて新しきを知る
若い学問とはいえ、古典と位置づけられるような研究は基盤になるもの
新しい研究も
15-2-2. 幅広く学ぶ
多様性も心理学の大きな魅力の一つ
最初のうちは特定の領域に偏ることなく幅広く
基礎心理学: 人間の行動やその背後にある心の働きを解明することに焦点 応用心理学: 基礎心理学によって明らかになった法則などをそれぞれの分野での問題解決に利用する 基礎心理学と応用心理学の境界は曖昧で相対的
15-2-3. 図書館を利用する
大学図書館を利用できる
15-2-4. 謙虚な気持ちを持つ
一般原理を個人に当てはめることには慎重になるべき
自己理解に努める
15-3. 心理学のこれから
心理学と他の学問との垣根は低く、心理学は学問のハブの働きをしていると指摘する者もいる
このような垣根の低さによって恩恵を受けてきたのはもっぱら心理学だった
心理学が育んできた千枝や知識を徐々に他の学問分野が求め始めている
2002年に認知心理学者のカーネマン(Daniel Kahneman: 1934-)が経済学に心理学的な考え方や研究手法を導入したことを評価されノーベル経済学賞を受賞